石川九楊は  美は言葉とともにある人間にしか存在しない と書いた  美は天を戴き 重力戦のふりそそぐ世界にしか存在しない とも書いている 美は  人が何かを捉え 感じることで生まれる 心も  捉えられ 感じられることで 美となる 何かが美しいわけではない 心が美しいわけでもない 石川九楊は  美とは 重力に抗して立つ人間の姿 たたずまいの別名である  それはすなわち 世界における人間のふるまい 言葉のふるまい  すなわちスタイル=文体の別名である とまで書く  美はスタイルとともにある と言い切る 人の 立つ すがた 人の たたずまい それが美だというのなら 僕は美から遠い でも 君は美だ 僕は そう思っている